SGLT2阻害薬カナグリフロジンが顕性アルブミン尿を有する糖尿病性腎症患者で腎アウトカムを有意に改善(CREDENCE試験)
CREDENCE試験は、アルブミン尿(Alb尿)が300mg/gCre以上の顕性Alb尿まで進行した糖尿病性腎症を有する2型糖尿病患者を対象とし、プラセボを対照としたカナグル®(カナグリフロジン)100mg投与による腎アウトカムを検証した無作為化二重盲検比較試験です。参加者は34ヵ国(日本も参加)からの4,401名で、糖尿病の罹病期間の平均値は16年、ベースラインのHbA1c平均値は8.3%で、平均eGFRは56ml/min/1.73m2、Alb尿の平均は927mg/gCreでした。また、参加者の50%にベースライン時点で心血管疾患の既往がありました。主要評価項目は末期腎不全への進行、血清Creの2倍化、腎疾患による死亡、心血管死のいずれかの発生であり、観察期間の中央値は2.62年でした。
本試験の結果は2019年4月14日に国際腎臓学会(ISN-WCN 2019)で発表されましたが、上記主要評価項目の発生についてカナグリフロジン群では相対危険度を30%減少させ(HR:0.70、95%信頼区間:0.59-0.82、p=0.00001)(図1)、腎アウトカムのみ(末期腎不全への進行、血清Creの2倍化、腎疾患による死亡)に関しては相対危険度を34%減少させました(HR:0.66、95%信頼区間:0.53-0.81、p<0.001)(図2)。さらに、主要心血管イベント(心血管死、心筋梗塞、脳卒中)および心不全による入院も減少させました。CANVAS programで示唆された下肢切断率の上昇については、本試験においては認められませんでした。
これまで、SGLT2阻害薬の心血管イベントに対する有効性はEMPA-REG OUTCOME、CANVAS Program、DECLAIRの3つの大規模試験で示されてきましたが、本試験はSGLT2阻害薬による腎アウトカムを主要評価項目とした初めての大規模臨床試験であり、レニン・アンジオテンシン系阻害薬に続き、18年ぶりに糖尿病患者における腎保護効果を示した非常に重要な結果と考えられます。
本試験にはアジア人が約20%、日本人は110名参加しており、今後、アジア人におけるさらに詳細な解析も待たれます。
1) N Engl J Med. April 14, 2019 DOI: 10.1056/NEJMoa1811744
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1811744