SGLT2阻害薬エンパグリフロジンが2型糖尿病患者の心血管リスクを低減する可能性(EMPA-REG OUTCOME試験)
EASD(欧州糖尿病学会)にて9月17日、SGLT2阻害薬エンパグリフロジン(ジャディアンス®錠)が2型糖尿病患者の心血管イベントに与える影響を検討したEMPA-REG OUTCOME試験の主要結果が発表されました。EMPA-REG OUTCOME試験は、心血管イベントの発症リスクが高い2型糖尿病患者7,020人を対象にエンパグリフロジン)の心血管アウトカムを検討したプラセボ対照無作為化二重盲検試験です(観察期間中央値:3.1年)。
主要評価項目は、心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中のいずれかの発現ですが、エンパグリフロジン投与群でプラセボ群と比較してこれらの心血管リスクを有意に減少させました(ハザード比:0.86, p=0.04)。また、エンパグリフロジン投与群は、心血管死を38%, 心不全による入院を35%, 全死亡を32% それぞれ低下させました。心筋梗塞や脳梗塞の頻度は、プラセボ群とエンパグリフロジン群で有意差は認められませんでした(むしろ脳梗塞は多い傾向あり)。
主要評価項目に関するサブグループ解析では、65歳以上、アジア人、HbA1c<8.5%, BMI<30, アルブミン尿> 300mg/gCの症例で、エンパグリフロジン投与群の心血管リスク低減効果が顕著でした。心血管疾患のリスクファクターとして、エンパグリフロジン投与群でHbA1c, 体重、腹囲、尿酸値、収縮期血圧が低下し、HDLコレステロール値がわずかに上昇しました。
心血管アウトカムに関する臨床試験で、経口糖尿病薬による心血管リスクの減少を示した試験として興味深く、今後のさらなる解析が待たれます。
N Engl J Med. 2015 Sep 17. [Epub ahead of print] (http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1504720)