SGLT-2阻害薬のダパグリフロジンが2型糖尿病合併の有無に関わらず、慢性腎臓病患者を対象とした腎アウトカム試験で主要評価項目を達成(DAPA-CKD試験)
DAPA-CKD試験は、プラセボを対照としたフォシーガ®(ダパグリフロジン)10mgの腎保護作用を検証する無作為化二重盲検比較試験です。本試験は良好な結果のため早期終了となりましたが(DONATS 2020/4/10掲載)、その結果が2020年8月30日に欧州心臓病学会で報告されました。
本試験の参加者は21ヵ国からの4,245名であり、慢性腎臓病(CKD)ステージが2-4期、アルブミン尿を有する患者で、2型糖尿病の有無は問いません。主要複合評価項目は「eGFRの50%以上の持続的低下」「末期腎不全(ESKD)への進行」「心血管死」「腎不全による死亡」のいずれかの発生ですが、プラセボ投与群と比較してダパグリフロジン投与群においてそれらの発生が39%低下したと報告されました。なお、この結果は2型糖尿病の有無に関わらず一貫していました。安全性及び忍容性に関しては、ダパグリフロジンの確立された安全性プロファイルと一致しており、糖尿病ケトアシドーシスの増加も認めませんでした。
ダパグリフロジンは米国において2型糖尿病の有無に関わらず左室駆出率が低下した成人心不全の心血管死及び心不全による入院のリスク低下に対する承認を取得しており、今回のDAPA-CKDの結果も合わせると、2型糖尿病の有無に関わらず心不全とCKDの両者で治療ベネフィットを示した同クラスで初めての薬剤となります。
2020年9月現在、本邦におけるダパグリフロジンの適応症は「2型糖尿病」及び「1型糖尿病」のみですが、今後は糖尿病の有無に関わらないCKDや心不全への適応拡大の可能性もあり、国内におけるCKDの治療選択肢の幅が広がることが期待されます。
(情報元:アストラゼネカ株式会社 ニュースリリース(2020.9.2))