PCSK9阻害薬エボロクマブ(レパーサ®皮下注)が心血管イベントを抑制(FOURIER試験)
平成28年4月に日本で発売された高コレステロール治療薬 エボロクマブ(PCSK9阻害薬)は、LDLコレステロールの値を約60%減少させるという強力な脂質低下作用を有し、HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)で効果不十分な家族性高コレステロール血症(FH)または高コレステロール血症に用いられる皮下注射製剤(1回/4週)ですが、今回、このエボロクマブの心血管イベントに与える影響を検討したFOURIER試験の結果が発表されました。
FOURIER試験は、動脈硬化性心血管疾患を有し、スタチン投与もLDL-C 70mg/dL以上を呈する患者27,564名を対象に、エボロクマブの心血管アウトカムを検討したプラセボ対照無作為化二重盲検試験です(観察期間中央値:2.2年)。エボロクマブ群では、エボロクマブ 140mg/2週毎、あるいは420mg/月)が投与されました。主要評価項目は心血管死、心筋梗塞、脳卒中、不安定狭心症による入院または冠動脈血行再建術の複合、副次評価項目は心血管死、心筋梗塞、脳卒中の複合として検討されました。
48週後、エボロクマブ投与群ではプラセボ群と比較してLDL-C値が59%低下、中央値にして90mg/dLから30mg/dLに低下しました(p<0.001)。また、エボロクマブ投与群ではプラセボ群と比較して、主要エンドポイントの発生率が有意に減少し(9.8% vs. 11.3%, ハザード比:0.85, p<0.001)、副次エンドポイントの発生率も有意に減少しました(5.9% vs. 7.4%, ハザード比:0.80, p<0.001)。
スタチンとPCSK9阻害薬を併用して治療目標値よりも厳格にコントロールすることで、心血管リスクが低減する可能性を示した興味深い報告です。
N Engl J Med. 2017 Mar 17. doi: 10.1056/NEJMoa1615664. http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1615664.