SGLT2阻害薬エンパグリフロジンのEMPA-REG OUTCOME試験における心血管アウトカムならびに全死亡リスクの減少が、アジア人においても認められました
EMPA-REG OUTCOME試験では、SGLT2阻害薬エンパグリフロジン(ジャディアンス®錠)が2型糖尿病患者において、プラセボとの比較で心血管死を38%, 心不全による入院を35%, 全死亡を32% それぞれ低下させ、経口糖尿病薬による心血管リスクの減少を示した試験として注目されました(DONATS, 2015/9/29)。
この度、EMPA-REG OUTCOME試験に参加したアジア人の2型糖尿病患者1,517名(全体集団の22%)における心血管アウトカムのサブ解析が行われました。その結果、アジア人集団における複合心血管イベント(心血管死・・非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中)に関して、エンパグリフロジン投与群は、プラセボ投与群に比べ、複合心血管イベントのリスクを 32%減少(ハザード比 0.68、 95%信頼区間 0.48-0.95)、心血管死のリスクを 56%(ハザード比 0.44、95%信頼 区間 0.25-0.78)、全死亡のリスクを 36%(ハザード比 0.64、95%信頼区間 0.40-1.01)減少させ、EMPAREG OUTCOME® 試験全体集団の結果と一貫していました。さらに、東アジア地域(日本、香港、台湾、韓国)から参加した587名の解析においても、同様の結果が示されました。
2型糖尿病の有病率や心血管イベントリスクには人種差があるとされていますので、アジア人においても同様の結果が示されたことは、日本人にとっても意義深いことと思われます。
Circ J 2017; 81(2): 227-234.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/circj/81/2/81_CJ-16-1148/_article