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糖尿病性腎症重症化予防プログラム・総合管理医療機関向けの診療の手引きを改訂しました

 令和6年3月に日本医師会、日本糖尿病対策推進会議、厚生労働省から提示されている糖尿病性腎症重症化予防プラグラム(以下、国のプログラムと表記)が改訂されました。国のプログラムでは、受診勧奨レベルに応じた具体的な介入方法が例示されました。また、これまでは特定健康診査の対象となる年代(40歳以上75歳未満)の国民健康保険加入者を対象としてきましたが、より若年の青壮年層や国民健康保険以外の保険加入者に関する内容、より年配の高齢者層に関する内容や後期高齢者医療への移行に関する内容に言及されており、さらに、ICT活用や歯周病に関する内容など、多岐にわたる内容となっていました。

 令和6年度は、岡山県糖尿病性腎症重症化予防プログラムの改定を行うにあたり、意識したコンセプトが2つあります。1つは、国のプログラムに追記された内容のすべてを新たなものとして追記していくのではなく、すでに岡山県で実施している取組みを当てはめつつ、ブラッシュアップしていくこと、もう1つは、国のプログラムや関連学会のガイドライン等と整合性を取り、齟齬や矛盾が生じないようにしていくことです。これら2つのコンセプトを意識して岡山県糖尿病性腎症重症化予防プログラムや総合管理医療機関向けの診療の手引きの改定を行いました。

 糖尿病性腎症重症化予防プログラムのフロー図における変更点がいくつかあります。
1)対象をすべての健診受信者に変更しました。2)健診で「糖尿病の疑いあり」と判定された者が抽出された際、特定健診の受診勧奨判定に用いられる表記(国のプログラムにも表記)に合わせ、「空腹時血糖または随時血糖が126mg/dL以上またはHbA1c6.5%以上」としました。ここでいう随時血糖は”食後から3.5時間以上あけて採血が実施されたもの”と定義されています。3)健診で「糖尿の疑いあり」と判定され、かかりつけ医または総合管理医療機関を受診した場合、「糖尿病の診断を確認すること」を追記しました。その後のフローでアルブミン尿の測定を行う流れになっていますが、前提として、糖尿病の診断がつくか確認する必要があります。
4)専門治療医療機関への紹介基準を日本糖尿病学会、日本腎臓学会が提言している紹介基準に合わせ、「eGFR45mL/min/1.73㎡未満または蛋白尿(1+)以上の者」に変更しました。なお、5)40歳未満は、eGFR60mL/min/1.73㎡未満で腎臓専門医へ紹介すること、6)蛋白尿は検査条件により変動があるため、「複数回検査することが望ましいこと」を注釈に加えています。

 総合管理医療機関向けの診療の手引きは、糖尿病性腎症の進展抑制における知見が新たに登場したことを受け、令和6年度に改定を行い、従来のレニン-アンジオテンシン系阻害薬(ACE阻害薬またはARB)に加え、SGLT2阻害薬と非ステロイド型選択的ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬を加えましたが、GLP-1受容体作動薬においても臨床試験で腎症の進展抑制効果を示す結果が報告されており、糖尿病性腎症の進展抑制に効果が期待される薬剤の一つとして表記することにしました。


プログラムの概要

診療の手引き(総合管理医療機関用)

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