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GLP-1受容体作動薬デュラグルチドが心血管リスクのある2型糖尿病患者の心血管イベントを有意に抑制しました(REWIND試験)

 2019年6月7日~11日までサンフランシスコで開催されていた第79回⽶国糖尿病学会学術集会(ADA2019)においてREWIND試験(DONATS 2019/1/8に掲載)の結果が報告されました1)

 REWIND試験は、プラセボを対照としたトルリシティ®(デュラグルチド)1.5mg週1回投与(※)の心血管イベントの発現率を検証する無作為化二重盲検比較試験です。参加者は24ヵ国(日本は不参加)から9,901名、糖尿病の罹病期間の平均値は10年、ベースラインのHbA1c平均値は7.3%で、虚血性心血管系疾患の既往を有しているのは参加者の31%のみでした。また、「eGFR≦60ml/min/1.73m2」の腎機能低下例は22%で、アルブミン尿を有する症例は35%でした。主要評価項目はMACE(心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中から成る複合評価項目)の初発でした。

 これまでにLEADERやSUSTAIN6等の大規模試験においてGLP-1受容体作動薬の2型糖尿病患者に対する心血管疾患イベントの抑制効果は証明されていましたが、それらの試験の対象はいずれも心血管系疾患既往例が70~100%を占めるリスクの高い集団でした。REWIND試験はより心血管系リスクの低い2型糖尿病例に対するGLP-1受容体作動薬の有用性を示した試験になります。

 主要評価項目に関しては、プラセボ群に対しデュラグルチド群で12%のリスク低下を認めました。副次評価項目でそれぞれの発生率を検討すると、非致死性脳卒中のみで有意なリスク低下(24%)を認め、心血管死、非致死性心筋梗塞には有意な差は認めませんでした。その他、眼合併症と腎合併症を合わせた細小血管症の発生率について、デュラグルチド群において13%と有意なリスク低下を認めました。なお、重篤な有害事象の発生率については両群で差がありませんでした。 

 本試験の結果から、2型糖尿病患者においては心血管既往に関わらずGLP-1受容体作動薬が心血管リスクを抑制しうることが示唆されました。本試験には日本人は参加していませんが、アジアからは韓国と台湾が参加しており、今後、アジア人におけるさらに詳細な解析が待たれます。

(※本邦におけるデュラグルチドの承認用量は 0.75mg 週1回投与であり、本試験の内容は承認用量外となっていますので、注意が必要です。)

 

1) Lancet. 2019 Jun 7. pii: S0140-6736(19)31149-3. doi: 10.1016/S0140-6736(19)31149-3.
[Epub ahead of print]
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(19)31149-3/fulltext

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